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2007年03月29日

高脂血症、コレステロールとメタボリックシンドロームの関係について(1/2)

★今回は高脂血症メタボリックシンドロームの関係について、中村治雄(日本生活習慣病予防協会理事、三越厚生事業団常務理事)の話を参考にしてみました。

血液の中に脂肪がいっぱい「高脂血症」

 「高脂血症」は、文字どおり、血液の中の脂肪の値が高い(血液中に油がたくさんある)状態を指し示す病名です。似たように病名に「コレステロール血症
という言い方もありますが、両者は少し意味あいが異なります。高脂血症には、いくつかのタイプがあり、その中の一つが高コレステロール血症です。
 高脂血症のタイプがどのように分類されるかというと、血液中の脂肪のどんな成分に異常が起きているのかという違いです。

血液中の脂肪の種類

 血液中の脂肪分「血清脂質」は、大きく分けると、コレステロールと中性脂肪の二つがあります(リン脂質や遊離脂肪酸も血液中の脂肪分ですが、必要なときに触れます)。

コレステロール

 コレステロールは、からだの中で、細胞膜やホルモンの原料として使われる脂肪分です。血液中のコレステロールの量が多くなり過ぎている状態が「高コレステロール血症」です。
 コレステロールに“悪玉”と“善玉”があることは、みなさんもうご存じだと思います。医学的には“悪玉”のほうを「LDL-コレステロール」、“善玉”を「HDL-コレステロール」と言います。

コレステロールは主として肝臓で作られます。肝臓で作られたコレステロールを血液の流れに乗せて全身に運ぶのが、LDL(低比重リポタンパク)という乗り物です。「リポタンパク」とは、脂肪分と結合したタンパク質のことです。脂肪分は油ですから、そのままでは、血液の中に溶けることができないのですね。ですから、タンパク質に包まれたかたちで血液中を流れているのです。LDLの量が多いと、血管の壁にコレステロールが入り込んで、動脈硬化を起こします。ですから“悪玉”と呼ばれるのです。
(チョッと休憩)




反対に、からだの隅々にある余分なコレステロールを肝臓に持ち帰るときの乗り物が、HDLです。HDLが多いと、血管壁に入り込むコレステロールは少なくなり、動脈硬化が進行しにくくなります。ですから“善玉”と呼ばれるのです。

 なお、近年“悪玉”のLDLの中でも“超悪玉”と呼ばれるs dLDLが注目されています。これは、サイズが非常に小さいLDLのことです。サイズが小さいだけに、血管の壁に容易に入り込みますし、さらに、酸化変性を受けやすいことや、脂肪分の処理場である肝臓に取り込まれにくいことが関係して、動脈硬化促進作用が大変強いことがわかっています。

中性脂肪(トリグリセリド)

 中性脂肪は、エネルギーとして使われる遊離脂肪酸を貯えたかたちの脂肪分です。トリグリセリドとも呼ばれます。

 食事をとると、腸で栄養が吸収され、その栄養素の中の炭水化物(糖分)と脂質(脂肪)から中性脂肪が出来上がり、血液の流れに乗って全身に運ばれ、エネルギー源として利用されます。そして、エネルギーとして使われずに残った中性脂肪は、肝臓や全身の脂肪細胞の中に蓄えられます。
 血液中の中性脂肪が多くなり過ぎている状態は、「高中性脂肪血症」といい、これもまた「高脂血症」という病気の一つのタイプです。

 中性脂肪の量は、HDL(善玉コレステロール)の量と逆相関の関係にあります。つまり、中性脂肪値が高いとHDLが低くなります。一方、中性脂肪はsdLDL(超悪玉コレステロール)と、量的に相関関係があります。つまり、中性脂肪値が高いとsdLDLが高くなります。その他、血液を固まりやすくし血栓を作ります。こうしたことから、高中性脂肪血症もやはり、動脈硬化を促進する原因となります。

メタボリックシンドロームでは、中性脂肪値とHDLに要注意

 ここで、高脂血症の治療の歴史に、簡単に触れてみましょう。
 LDLの値が高いと動脈硬化性の病気(心筋梗塞や狭心症など)が起きやすくなることは、わりと古くからわかっていました。そのためにLDLを下げる薬が次々に開発されてきました。それらの薬は、今では世界中で最も多く使われる薬になっています。しかし、それらの薬を使ってLDLを十分に下げているにもかかわらず、動脈硬化性の病気を起こす人がいるのです。

 LDLを下げても動脈硬化性疾患の発症が抑制しきれない理由としてクローズアップされたのが、HDLが低いことと中性脂肪が高いことです。しかも、低HDL血症と高中性脂肪血症は、さきほど述べたように、逆相関の関係にあるので、一人の人に同時に発病することが多いのです。

 そして、低HDL血症と高中性脂肪血症が併発する背景として、近年、注目されているのが、メタボリックシンドロームです。メタボリックシンドロームの診断基準に、中性脂肪かHDLのいずれかの異常という項目があるのに、LDLについては触れられていないのは、そのためです。
摂取カロリーを抑え、アルコールや甘いものは控え目に

 日本人のコレステロール値は、食生活の欧米化とともに徐々に高くなってきており、アメリカ人の値に近いという報告もあります。それだけに、コレステロールが高くはない状態でも動脈硬化の進行が早くなるメタボリックシンドロームは、より重要な意味をもち、積極的な対処・治療が必要と言えます。

 コレステロールが高くなる原因は、いつくかありますが、生活習慣との関係に絞ってみた場合、食生活が強く関係しています。脂肪分の多い食事、コレステロールを多く含む食品の摂取は、LDLを増やします。

 一方のメタボリックシンドロームで問題となる中性脂肪が高くなることにも食事が関係していますが、脂肪分の多い食品のとり過ぎが原因と言うより、食べる量が重要です。食事の量が多過ぎると、エネルギーとして消費されない分が中性脂肪になり、肝臓や全身の脂肪細胞に蓄えられます。これが肥満です。そのような状態では、全身の脂肪細胞(とくに内臓周囲の脂肪細胞)から血液の中へ、中性脂肪から分解した遊離脂肪酸が絶えずたくさん供給され、インスリンの危機を抑えることになります。

 また、アルコール飲料や果糖を多く含む甘い食べ物(果物やお菓子など)も、中性脂肪値を高めます、高中性脂肪血症の患者さんのうち、男性はアルコール飲料の飲み過ぎ、女性は果物やお菓子の食べ過ぎ、そして運動不足が原因と思われる方が少なくありません。
治療目標は、中性脂肪150mg/dL未満、HDL- C40mg/dL 以上

 治療においては、食習慣の改善に加えて、中性脂肪の貯蔵庫である、脂肪を減らすために、運動習慣を身に付けることも必要です。そして、食事療法と運動療法をしばらく続けても、検査値が治療目標に到達しないときには、薬が処方されます。なお、高脂血症の二つのタイプのうち、メタボリックシンドロームで頻度が高くなる高中性脂肪血症は、高コレステロール血症よりも、食事療法や運動療法の効果が現れやすいと言えます。

 治療の目標は、中性脂肪150mg/dL未満、HDL-コレステロール40mg/dL 以上です。LDL-コレステロールの治療目標は、高脂血症以外の動脈硬化危険因子の数によって異なり、120〜140mg/dL未満です。危険因子の数が多いほど低めにコントロールします。

以上です。
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